不調の出にくい身体を目指そう!

今回は辛い炎症のサポートとなるような生活習慣に関するお話です。手・腕を専門にしている当院で注目したい炎症として腱鞘炎やテニス肘がメジャーですが、それに限らずそもそも炎症が起きにくい身体をつくろう!というテーマとなります。新型コロナウイルスの影響で健康意識も高まり浸透してきましたが、病気の前段階、「未病(みびょう)」のうちに不調対策をしようとする考え方となります。

炎症対策の必須知識

腱鞘炎や関節炎などの痛みを伴う大きな炎症が起こる前、体内ではストレスによって小さな炎症が無数に起こっているかもしれません。例えばアレルギーなどがイメージしやすいですが、長期にわたりストレスに対してケアが追い付かないと脳や血管、内臓をはじめ体内で小さな炎症が消えない「慢性炎症」の状態になります。知らず知らずのうちに慢性炎症化した体は、痛みに弱くなり疲労感を増幅させ老化を促進させます。常に回復にエネルギーを費やしているため、運動や思考に必要なエネルギーが不足し体力、記憶力などの低下を引き起こします。安静にしているのに辛い炎症がいつまでたっても治らない。回復力を十分に発揮できていない身体は生活習慣で整えましょう。

その対策としては、ストレスをなくすかストレスに強くなるしかありません。
ただちにストレスを無くすのは難しいのでしょうから、ストレスに強くなる方が良いでしょう。ストレスのあるなしに関わらず、生活習慣が整うと身体はストレスに強くなるように出来ています。もしストレスで生活が乱れる場合は、生活が乱れてるせいでストレスに対処できてないのかも!と一旦思考を置き換えるとイメージしやすいです。

▼カロリーコントロールをしよう!
ストレスケアの基本は食事・睡眠・運動です。その中でも食事が最初に改善しやすい項目です。
もし味の濃いもの、甘いものや脂質の多いものなどカロリーの高い食べ物を日頃から選ぶ習慣があるのなら、まず優先的にそれらを無くしましょう。太っているか痩せているかに関わらず、味の濃い食事や糖、脂肪の摂取が多くなると炎症を誘発してしまいます。脂肪は体内で炎症を加速させます。体脂肪は炎症物質をガンガン分泌するためです。痩せれば健康になるという事実は、炎症物質が減ることがその大きな要因です。

もちろん脂肪自体が悪いわけではなので、男性は15%以下、女性は22%以下を目標にしましょう。反対に、小食になりカロリーが足りないのも身体に大きなストレスとなり炎症が進みます。食事内容も含めて、運動での消費、睡眠による回復と安定もカロリーコントロールにとって大切です。

▼抗炎症効果の高い食べ物
サーモン・鯖・イワシ・ブロッコリー・ほうれん草・チンゲン菜・小松菜・セロリ・アボカド・ベリー類、ナッツ類、ハーブやスパイス、ココアパウダー、お茶やコーヒー、オリーブオイル、ココナッツオイル、ブドウやリンゴなど色が濃い目のフルーツ、鶏がらスープ

優先順位としてはこれらを増やすよりも取りすぎている脂肪と糖を減らす事が先です。慣れてきたら上記のような食材をちょっとずつ増やしましょう。

▼NEATを増やそう!
現代人の運動量は意外にも昔の人より多いというデータがあります。にも関わらず肥満が増えているのが現代の不思議なところ。これがなぜかというと、掃除・洗濯・買い物のような日常の動きに関わる「NEAT」の減少が原因と言われています。NEATとは「非運動性熱産生」と訳され、運動以外に行われるカロリー消費を意味します。便利な家電やオンラインショッピングがある現代では、そのせいで座っている時間が増えむしろ食べている時間が増えるというミスマッチが起こります。運動習慣のない人は、急にジムに通うよりか「エレベーターを使わないで階段を使おう!」のような感覚で日常の動作を増やしましょう。反対にオーバートレーニングによるストレスは、その回復に1週間から2週間かかると言われるほど大きなものです。日常的に動いているのに不調が続く場合は、動きすぎかもしれません。チェックしてみてください。

まとめ

身体が多くのストレスを抱え処理できなくなると慢性炎症化して疲れやすく、痛みにも弱くなってしまいます。免疫系をいつも働かせていることになるので、体調も崩しやすいでしょう。辛い症状の根本には疲労の取れない別の原因が隠れているかもしれません。
体内炎症が体中で起こっていると酷使した部位の回復にあてるエネルギーが、常に炎症対策に使われているために自然治癒力では追いつかない状況になります。
食事や運動でストレス抵抗性を上げることは非常に有効な手段ですが、ストレスで食事が乱れる!疲れのせいで運動する余裕がない!とストレスの多い状態で生活リズムを変えるのは余計ストレスがかかるかもしれないので、まずその余裕をつくるための身体のケアをすることも強くおすすめします。ぜひチェックしてみてください。

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